「AIに聞いても、うちが出てこない」

ここ最近、「ChatGPTに自社の業種とエリアを入れて聞いてみたが、うちの会社が出てこない」というご相談をいただくことが増えました。競合が名前を挙げられているのに自社が挙がらない、あるいは挙がっても内容が古い、といったご相談です。

検索エンジンで上位に表示されている会社が、生成AIの回答では触れられないことは実際にあります。従来の検索とAIによる回答生成では、情報の拾い方が違うためです。検索エンジンは「この質問に関連するページの一覧」を返しますが、生成AIは複数の情報源を読んだうえで「1つの答え」を組み立てます。後者では、そもそも読まれる対象に入っていなければ、どれだけページを作っていても回答には現れません。

この記事では、AIの回答に自社が出てこない原因を3つに分けて整理し、中小企業がまず確認すべきことをまとめます。生成AI検索への最適化はLLMO(Large Language Model Optimization)と呼ばれますが、専門用語の解説よりも、実際に何を確認すればよいかを中心に書きます。

出てこない原因は、大きく3つに分かれる

1. AIが参照できる場所に、自社の情報がそもそも無い

最も多いのがこれです。生成AIは、学習した内容と、回答時にWeb上を検索して取得した内容をもとに答えを組み立てます。このとき参照されるのは自社サイトだけではありません。業界メディアの記事、比較サイト、他社が書いたまとめ記事など、Web全体に散らばった言及が材料になります。

つまり、自社サイトをどれだけ作り込んでも、「この業種といえばこの会社」と第三者が書いている場所が無ければ、AIは自社を候補として挙げられません。自社サイトは「自称」であり、外部の言及は「他称」です。AIは後者を重く見ます。

2. 情報はあるが、AIが読み取りにくい形になっている

情報が存在していても、機械が解釈しづらい形式だと拾われません。会社概要が画像として貼られている、料金が問い合わせ前提で一切書かれていない、サービス内容が抽象的な形容詞ばかりで具体的な対象や範囲が書かれていない、といったケースです。

人間が読めば伝わる文章でも、AIが「この会社は、どの地域で、誰向けに、何を、いくらで提供しているのか」を明確に抽出できなければ、回答の材料として使いにくくなります。ここを整えるのが、構造化データやFAQコンテンツの役割です。

技術的な入口として、OpenAIが公開しているクローラーの仕様も一度確認しておくことをおすすめします。サイト側の設定でクローラーを拒否していると、そもそも読みに来てもらえません。過去にセキュリティ対策やサーバー負荷対策としてクローラーを一括で遮断していて、その設定が残ったままになっている、という例は実際にあります。

3. 表記がゆれていて、同じ会社だと判断されない

意外に多いのがこれです。社名が「株式会社◯◯」「◯◯」「◯◯(カタカナ)」と場所によってバラバラだったり、サイトに載っている住所や電話番号が、地図サービスや各種登録情報と食い違っていたりすると、AIは同一の事業者だと確信を持てません。

1つ1つは些細な不一致ですが、情報源をまたいで照合する仕組みの上では、確信度を下げる要因として効いてきます。ここは実装の手間がほとんどかからないわりに効果が出やすい領域なので、着手する価値があります。

中小企業がまず確認する3つのこと

原因の候補が分かったら、次は確認です。専門ツールを入れる前に、次の3つは自社ですぐに確認できます。

  • 実際にAIに聞いてみる|自社名で聞くだけでなく、見込み客が使いそうな聞き方(「◯◯市で△△を頼めるところ」など)で試します。自社名で聞けば出てくるのは当然で、勝負は指名なしの質問です
  • 社名・住所・電話番号の表記を突き合わせる|自社サイト、各種登録情報、業界団体の名簿などを並べて、食い違いが無いかを確認します
  • クローラーを遮断していないか確認する|サイトの robots.txt の設定を確認します。制作を委託している場合は、制作会社に確認すれば分かります

この3つで問題が見つからなければ、原因は1つ目、つまり「外部の言及が足りない」である可能性が高くなります。ここから先は、比較記事への掲載やコンテンツの継続的な発信といった、中長期の取り組みになります。

SEOとLLMOは、対立するものではない

「これからはSEOではなくLLMOだ」という言われ方を目にすることがありますが、当社はそう捉えていません。生成AIが回答を組み立てる際に参照するのは、結局のところWeb上に公開されたページです。検索エンジンに正しく評価されるサイトは、AIにとっても読みやすいサイトであることがほとんどです。

実際、AIに引用されやすくするための施策——情報を構造化して伝える、質問と回答の形で整理する、発信元と更新日を明示する——は、いずれも従来のSEOで重視されてきたことと重なります。まったく新しい取り組みを別途始めるというより、これまでの土台の上に、機械可読性という観点を1つ足す作業だと考えるほうが実態に近いはずです。

そのため当社では、SEO対策とLLMO対策を分けて売らず、同じ枠組みのなかでご提供しています。両者の関係についてはSEOコンサルティングのページでも触れています。

当社の取り組み

当社は、生成AI経由での購入・問い合わせを実際に生み出した実績があります。帽子屋ライオンドウ様の事例では、AI検索からの流入を実際の成果につなげました。詳細はLLMO対策(生成AI検索最適化)コンサルティングのページに掲載しています。

また、当社自身のサイトでも同じ考え方を実践しています。当社が運営する比較記事に自社の情報を第三者と同じ形式で掲載し、AIが抽出しやすい構造を保つ、といった施策を継続的に運用しています。自社で試して手応えを確認したうえで、お客様にご提案するようにしています。

「AIに出てこない」は、原因がサイトの内側にあることも外側にあることもあり、切り分けには一定の経験が要ります。現状のサイトを見せていただければ、どこから着手すべきかの見立てからお手伝いできます。

よくあるご質問

対策すれば、必ずAIの回答に出てくるようになりますか。
保証はできません。生成AIがどの情報源を選ぶかは各サービス側のアルゴリズムによるもので、外部から確定的に制御できるものではありません。できるのは、参照されうる状態を整え、その確率を高めることまでです。この点は、検索エンジンの順位を保証できないのと同じ構造です。
どのくらいの期間で変化が見えますか。
表記の統一やクローラー設定の修正のように、すぐ直せるものもあります。一方、外部からの言及を増やす取り組みは中長期です。生成AIが学習・参照する情報の更新にも時間差があるため、数か月単位で見ていく必要があります。
SEO対策をまったくしていない状態からでも相談できますか。
可能です。むしろ、その状態であれば土台の部分から一緒に整えるほうが結果的に近道になります。現状を分析したうえで、SEOとLLMOのどちらを優先すべきかも含めてご提案します。