「問い合わせが来ない」は、2つの別々の問題が同じ顔をしている

「ホームページを作ったのに、問い合わせがまったく来ない」というご相談は、当社に寄せられるご相談のなかでも特に多いものです。ただ、この一言だけでは、何を直せばよいのかは決まりません。同じ「問い合わせが来ない」でも、原因はまったく異なる2種類に分かれるからです。

1つは、そもそもホームページに人が来ていないという集客の問題。もう1つは、人は来ているのに問い合わせに至っていないという接客の問題です。前者は検索や広告といったサイトの外側の話で、後者はページの中身の話です。打つべき手はまったく違うのに、症状としては「問い合わせが来ない」という同じ形で現れます。

ここを切り分けないまま改善に着手すると、労力が空振りします。訪問者が月に数十人しかいないサイトでボタンの色を変えても、変化は測定できません。逆に、十分な訪問者がいるのにフォームが使いにくいサイトで広告費を足しても、増えた訪問者はやはり問い合わせせずに帰っていきます。この記事では、どちらの問題なのかを先に判定する手順を解説します。

切り分けに必要なのは2つの数字だけ

判定に必要な数字は2つです。一定期間の訪問数と、同じ期間の問い合わせ件数。この2つが揃えば、どちらの問題かはほぼ判別できます。

訪問数はGoogleアナリティクス(GA4)で確認します。検索経由の流入の内訳まで見たい場合はGoogleサーチコンソールを併せて見ます。問い合わせ件数は、フォームの自動返信メールの通数や、営業側で管理している反響件数で構いません。厳密な計測環境が整っていなくても、桁が分かれば切り分けはできます。

期間は最低でも1か月、できれば3か月分を見てください。BtoBのサービスや高単価の商材では、1週間単位の数字は誤差の影響が大きくなりすぎます。

判定の目安

具体的な合格ラインは業種と商材の単価によって大きく変わるため、「この数字なら正常」と一律に言うことはできません。そのかわり、次の考え方で切り分けます。

  • 訪問数がそもそも少ない(月に数十〜百程度で頭打ち)|集客の問題。ページの中身をいじる前に、まず人を集める手立てを考える段階です
  • 訪問数は積み上がっているのに、問い合わせがゼロに近い|接客の問題。来ている人が行動に移せない理由がページ側にあります
  • どちらもそこそこあるが、想定より少ない|両方に伸びしろがある状態。この場合は、改善の手間が軽い接客側から着手するのが定石です

自社にとっての正常値が分からない場合は、過去の自社の数字と比べるのが最も確実です。半年前や1年前と比べて訪問数が落ちているのか、横ばいなのか、伸びているのに問い合わせだけが増えないのか。他社の平均値よりも、自社の推移のほうがはるかに有用な判断材料になります。

集客の問題だった場合に起きていること

訪問数が伸びない場合、多くは検索結果に自社のページが出ていないか、出ていても検索した人の意図と噛み合っていないかのどちらかです。

サーチコンソールで「表示回数」がほとんど立っていなければ、そもそも検索結果の候補に入っていません。この場合はページ数やコンテンツの不足、あるいはサイトの構造そのものが検索エンジンに評価されていない可能性があります。一方、表示回数はあるのにクリックされていないのであれば、検索結果に出るタイトルや説明文が、検索した人の求めているものと一致していないというサインです。

もう1つ見落とされやすいのが、集めている検索キーワードと、売りたいものがずれているケースです。情報収集目的の言葉ばかりで人が来ていると、訪問数のグラフは伸びているのに問い合わせにはつながりません。数字上は集客できているように見えるぶん、原因として気づきにくい類型です。

検索からの集客をどう組み立てるかについては、SEOコンサルティングのページで進め方と対応範囲をご紹介しています。

接客の問題だった場合に起きていること

訪問数はあるのに問い合わせに至らない場合、次のような理由が重なっていることがほとんどです。単独の致命的な欠陥があるというより、小さな摩擦がいくつも積み重なって、行動する手前で離脱が起きています。

  • 誰向けのサービスなのかが、最初の画面で伝わっていない|訪問者は数秒で「自分向けではない」と判断して離れます
  • 判断に必要な情報が足りない|料金の目安、対応範囲、進め方。これらが分からないと、比較検討の土俵にすら乗りません
  • 問い合わせの心理的なハードルが高い|「相談したら営業されそう」と思われた時点で、フォームは開かれません
  • フォーム自体が使いにくい|入力項目が多すぎる、スマートフォンで操作しづらい、エラー表示が分かりにくい

訪問者の大半がスマートフォンからという状況は、いまや珍しくありません。パソコンの画面で問題なく見えていても、スマートフォンで実際に最後まで入力してみると、想定していなかった操作の詰まりが見つかることがあります。まずはご自身のスマートフォンで、検索するところからフォーム送信までを一度通しで試してみてください。

ページ側の具体的な改善項目については、WEB集客に強いホームページへの改善のポイントで、ターゲット設定からCTAの最適化まで個別に解説しています。

切り分けたあとに、どこから手をつけるか

どちらの問題かが分かったら、次は着手の順序です。当社では、接客側から先に着手することをおすすめしています。理由は2つあります。

1つは費用対効果です。集客を増やす施策は、SEOであれば成果が出るまでに数か月、広告であれば継続的な予算が必要になります。対して、ファーストビューの文言やフォームの項目数といった接客側の改善は、比較的短期間で手を入れられ、追加の広告費もかかりません。

もう1つは掛け算の関係にあるためです。問い合わせ件数は「訪問数 × 問い合わせ率」で決まります。問い合わせ率が低いまま訪問数だけを2倍にしても、増えた訪問者の大半は同じ理由で離脱します。先に受け皿を直しておけば、あとから増やした訪問数がそのまま成果に反映されます。実際に当社がご支援した不動産会社様では、ランディングページと広告運用の両方を改善し、半年で問い合わせ件数が2倍になりました。

ただし、訪問数が月に数十程度しかない場合は例外です。この規模では改善の効果を数字で確認できないため、先に集客側で母数を作る必要があります。

自社で切り分けられないときは

ここまでの手順は、数字さえ見られれば社内でも進められます。それでも判断がつかない場合、多くは「数字は出せるが、その数字が良いのか悪いのか分からない」という状態です。業種ごとの相場観は、複数の案件を横断して見ていないと持ちにくいものです。

当社では、現状分析から課題の抽出、優先順位づけまでを行うWebコンサルティングをご提供しています。制作会社でありながら戦略設計から運用改善までを同じ体制で担当するため、「原因はここまで特定できたが、直す担当者が別の会社」という分断が起きません。単発でのご相談も受け付けていますので、まずは現状の数字をお持ちいただければ、どちらの問題なのかの切り分けからお手伝いできます。

よくあるご質問

Googleアナリティクスを入れていないのですが、切り分けはできますか。
正確な訪問数は分かりませんが、切り分け自体は可能です。サーチコンソールを設定すれば検索経由のクリック数は過去分もさかのぼって確認できますし、レンタルサーバーのアクセス解析機能が使える場合もあります。まずは問い合わせ件数と、おおよその訪問規模が分かるだけでも判断材料になります。
公開したばかりのホームページですが、どのくらい待つべきでしょうか。
検索経由の流入は、公開直後から安定するものではありません。少なくとも3か月程度は、検索エンジンに認識され評価が定まるまでの期間として見ておく必要があります。ただし、その間も接客側の改善は進められますので、待っている時間を使ってページの中身を整えておくことをおすすめします。
他社で制作したサイトでも、原因の診断だけお願いできますか。
可能です。現状を分析したうえで課題と改善策をご提案します。診断の結果、部分的な改修で対応できる場合はその範囲でご提案しますので、必ずしもリニューアルが前提になるわけではありません。